あらすじ

2055年、東京・某駅前。かつて「夢のタワー」と呼ばれた複合再開発マンション「STタワー」は、下層の商業施設がほぼ全滅し、給排水管は老朽化し、管理費は30パーセント超の値上げを突きつけられようとしていた。 購入第一号の住人・佐倉遥(55歳)は、三十年前ここを選んだことを後悔しているのか——と問われれば、まだわからない、と答えるしかない。あの頃の遥には、疑う理由がなかった。輝くパンフレット、自信に満ちた担当者、夫の義人が「ここで生きていこう」と言った瞬間。全部が本物だと信じていた。 しかし今、義人は認知症が進み、娘夫婦は借金と不倫を抱えてこの部屋に転がり込み、下層フロアでは元テナント店長が殺され、空調は猛暑の中で止まり、台風の夜には電気系統が焼けた。 そして遥は気づく。三十年前、このタワーの設計者たちは「いつか崩壊する」ことを知っていた、と。

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カクヨム
カクヨム2026/06/19
  • 現在の作品垂直の地獄 ~夢のタワマンが30年後、住人を喰い始めた~