あらすじ
(私を踏みにじった、元婚約者のギルベルト……殺してやる)
ヘレーネはそう思って彼の部屋まで来たのに、なぜかギルベルトは倒れて死んでいた。
そのそばには、新婚約者になったはずの義妹リリアナが、短剣を持って立っていた。
「違うっ! ……いえ、違わないけど……でも、私じゃない……」
私じゃないとは、どういう意味なのか。
状況だけ見れば、この子が犯人だ。
しかもリリアナは、ヘレーネから婚約者を奪った女でもある。
けれど、助けを求めるような声を聞いた瞬間――ヘレーネはリリアナを見捨てられなかった。
逃亡の末に辿り着いた、貴族街の外れの馬車小屋。
そこでふたりは、お互いの罪と傷をさらけ出す。
「お姉様が、もっと嫌な女だったらよかった。もっと酷い人だったら、簡単に憎めた。そうしたら……こんなふうに、苦しまなくて済んだのに」
これは、傷つけ合い、憎み合ったはずの義姉妹が、それでも手を取り合うまでの物語。