あらすじ

七月八日、午前二時。 生ぬるい湿気が淀む神社の境内で、俺は深夜の底辺バイトに従事していた。 七夕祭りで飾られた何千枚もの短冊を笹竹からむしり取り、ただひたすらに市のゴミ袋へブチ込んでいく。 『宝くじで三億円』『可愛い彼女が欲しい』――。 他人の無責任な欲望(エゴ)が綴られた紙屑を、「燃えるゴミ」として淡々と処理する。 一年前に相棒(バディ)を不慮の事故で亡くして以来、俺の中の時間は止まったままだ。明日が来ようがどうでもいい。ただ惰性で息をして、他人の祈りの残骸を仕分ける、皮肉で空虚な夜。 いつものように感情を殺し、ただ機械的に紙を引きちぎっていたその時。 カキン、ジャッ。 夏の不快な静寂を切り裂いて。 かつて死ぬほど聞き慣れた、特定の金属が擦れ合う「あの音」が、誰もいないはずの俺の背後から響いた――。 【新作限定】そうやま七夕祭に参加しています。 https://kakuyomu.jp/user_events/2912051601569147549

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/06/19
  • 現在の作品灰の天の川を編む