あらすじ
最弱スキル《一滴》と笑われた追放管理官が、未読・未返信・ご確認くださいだらけの黒塔に最初の穴を開ける話。
《火力:一滴》
《副作用:本人の胃が痛くなる》
《備考:濡れる》
若き管理官レオン・アステリアに与えられた具現異能は、王国中の官吏たちに笑われるほど弱いものだった。
才能はある。
だが、判断が遅い。
案件を抱え込む。
封書を開けられない。
構想書の表紙だけは美しいのに、二枚目はいつも白紙。
第一管理官の座を追われたレオンが送られたのは、王国中の「あとでやる」が積み重なって生まれた災厄、未済の黒塔。
そこでは、未読、未返信、確認中、至急、ご確認ください、先日の件ですが――
見なかった現実そのものが、濡れた封書となって襲いかかってくる。
これは、最弱スキルで世界を一撃で救う話ではありません。
自分の一文が誰かの生活を動かす怖さを知った男が、それでももう一度、今日の一通を開ける物語です。