あらすじ

王妃セラフィナが、何も言わずに小執務室を出ていった。 ただ、それだけ。 ……の、はずだった。 だが、その沈黙ひとつで、王アランの内側に地獄が開く。 「何でもないわ」 「気にしないで」 届く言葉は短い。 優しい。 たぶん、本当にそれ以上の意味はない。 ない、はず。 なのにアランは止まらない。 考える。 深読みする。 さらに考える。 勝手に傷つく。 確認したくなる。 でも確認したら重い。 分かっている。 分かっているのに、扉の向こうが気になる。 やめてください、陛下。 それは確認です。 それは謝罪の顔をした欲です。 それは偶然ではありません。 その扉を開けたら、たぶん私の胃が終わります。 宰相レイは冷静に止める。 表情は崩さない。 声も荒げない。 ただし内心は大騒ぎ。 沈黙が怖い王と、 その王を全力で止める宰相と、 そして、何も言わない王妃。 外から見れば小さなすれ違い。 けれどアランの中では、言葉ひとつが火種になり、扉ひとつが地獄の入口になる。 これは、王城で起きたささやかな一日の話。 ただし、陛下の内側だけは大惨事です。

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小説を読もう2026/06/19
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