あらすじ

迷宮都市ラヴィアの地図職人・リシアには、揺るがない職業倫理があった。 「地図に私情を入れてはいけない」——それが父から受け継いだ、仕事のすべてだ。 なのに、何度描き直しても地図が曲がる。 案内所の前を通る遠回りの道だけが、最短経路より濃く太く、勝手に伸びていく。 原因は、地図の確認役として工房に来る案内人・カイ。 心が動くと線も動く魔法羊皮紙は、リシアの気持ちを正直すぎるくらい映し出していた。 これは誤差。紙の湿気のせい。たぶん。きっと。 ——そうじゃないと薄々わかっていても、足はもうその道を覚えてしまっていた。 商店街地図の公開日、大勢の前でリシアはその線を認めてしまう。 「この道は測量上の最短経路ではありません。でも——私が一番よく覚えている道です」 そして乱れていたのは、リシアの地図だけではなかった。

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小説を読もう2026/06/19
  • 現在の作品地図職人、君へ向かう道だけ消せない