あらすじ

俺の名は、オ・バンソク。 朝鮮人民軍特殊狙撃部隊の小隊長だった。 戦場で敵を撃ち、命令を守り、祖国と人民と将軍のために生きてきた。 そう教えられた。 そう信じていた。 だが、次に目を開けた時、俺は祖国ではない場所にいた。 そこは、蒸気と煤と魔法の灯が混じる、アルビオン連合王国。 産業革命期の英国に似た、だが魔物も魔法も存在する異世界だった。 俺の手元にあるのは、狙撃銃、拳銃、軍服、そして有限の弾薬。 敵地か。 捕虜収容所か。 実験か。 そう考えた俺が最初に見たのは、魔物に襲われる下級冒険者たちだった。 俺は魔物を撃った。 だが、本当の敵は魔物ではなかった。 この世界の冒険者は、英雄ではない。 危険な依頼を受け、装備を借金で買い、負傷すれば治療費を背負い、死ねば遺族に債務が残る。 ギルドは彼らを守る場所ではなく、契約書と帳簿で管理する場所だった。 この世界には、祖国のように人民を守る指導者はいない。ならば、何が彼らを守ればよいのか。 これは、魔王を倒す物語ではない。 勇者になる物語でもない。 銃弾が尽きる前に、俺が学ばなければならないことがある。 撃つことではなく、止めること。 命令することではなく、聞くこと。 人民の名を叫ぶことではなく、一人の名前を消さないこと。 黒泥の街で、革命は一枚の名簿から始まった。

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カクヨム
カクヨム2026/06/19
  • 現在の作品脱北冒険者の異世界革命