あらすじ
チート転生者の英雄が、十年前、この国から飢えを消した。
彼のチートが小麦から生み出す完全食「マナブレッド」。栄養は完璧。餓死者はゼロ。
――なのに、子どもたちは笑わない。「おいしい」という言葉さえ、もう誰も知らないのだ。
その食堂に配属されたのが、私。チート適性ゼロの「凡人枠」転生者。
できるのは、前世で二十六年つづけた「給食」だけ。
温かいスープ。彩りの献立。配膳当番。いただきます。
栄養効率は下がる。お役所には睨まれる。それでも――
「……おいしい」
その小さな一言が、飢えを滅ぼした救国の英雄の、涙腺まで崩すことになるなんて。