あらすじ
結婚三周年の日――。
子爵夫人アイス=フロストは、愛する夫アルバートのために手作りのアップルパイを用意し、幸せな気持ちで屋敷へ帰ってきた。
しかし、その日見てしまった。
夫の腕の中にいたのは、十年来の親友リリアだった。
さらに二人は、アイスとの結婚が男爵家の財産を手に入れるための計画だったことを笑いながら語る。
愛も友情も信じていたアイスは、一夜にして全てを失った。
だが、悪夢はそれだけでは終わらない。
翌日、夫の書斎で見つけた帳簿から、亡き父の死に不審な点があることを知る。
隠れて聞いた会話によって明らかになったのは、夫と親友が父を騙し、莫大な借金を背負わせ、死へ追いやったという恐るべき真実だった。
愛した夫。
信じていた親友。
そして奪われた父の命。
絶望の底で涙を流したアイスは決意する。
――復讐しよう。
誰にも注目されないモブ令嬢だった彼女は、静かに牙を研ぎ始める。
証拠を集め、味方を増やし、笑顔の仮面を被りながら。
やがて彼女は王国の闇を暴き、貴族社会を震撼させる存在へと変貌していく。
これは、全てを奪われた一人の女性が、裏切り者たちから全てを奪い返すまでの物語。
後に王国中の貴族たちがこう語ることになる。
――絶対に敵にしてはいけない女だ、と。