あらすじ
「あなたはもう König なのよ」——亡命王族の末裔・レンに届いたのは、一通の通知書だった。
相続したのは、一つの国家。その総資産に課される、日本の相続税。最高税率、五割五分。だが彼は、今月の家賃も払えない一介の留学生にすぎない。
取れるはずのない税。逃げ場のない義務。そして、彼を追い詰めていく、一つも間違えない機構。
五十一日の逃走の果てに、彼が握りしめていたものは——四代伝わった、一本の鈍いペーパーナイフだった。
制度が人を壊すとき、誰も悪人ではない。だからこそ、誰も止まらない。