あらすじ

小説投稿サイトには、一つの残酷な真理がある。──『初速が9割』。 高校一年生の頃、一度だけ投稿した「第二話」の閲覧数は『0』だった。誰にも読まれず、批判すらされない底なしの静寂に絶望した俺、始月零(しづき れい)は、それ以来、美味しい『第一話(プロローグ)』だけを量産しては放置するエタ常習者となった。 「どうせ俺の続きなんて誰も読まない」 そう開き直り、エゴサもPV確認も完全に放棄して大学一年生になった俺は、ここ数日、奇妙な同じ夢に悩まされていた。 満開の桜の中、トーストをくわえて走るセーラー服の美少女。けれど彼女は、曲がり角の手前で立ち止まり、泣きそうな顔で俺を責めるのだ。 『おねがい、続きを書いて! あなたのせいで、私は先に進めないの』 そんなある日、逃げ込んだ図書館の自習室で、俺は一人の美少女・神代桜(かみしろ さくら)と出会う。 彼女は俺が失踪作家「レイ」であることを見抜くや否や、一冊の古い大学ノートを差し出した。 そこに書かれていたのは、ネットのどこにも存在しない、俺が二年前の冬に書き捨てたはずの手書きの原稿。 タイトルは──『神代桜の、ありふれた日常』。 「ネットじゃありません。学校に行けなかった私を救ってくれたのは、このノートでした」 閲覧数ゼロ、無価値だと思って俺が切り捨てたあの二ページ目の裏で。 世界でたった一人、彼女だけがその言葉を命綱にして、ずっと続きを待ち続けていた。

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カクヨム
カクヨム2026/06/19
  • 現在の作品神代桜の、ありふれた日常 〜開き直り失踪作家が、自習室でリアル食パン少女に捕まって続きを書かされる話〜