あらすじ
父の六十歳の誕生日パーティーの前夜、彼氏のLINEに突然、九枚の写真が届いた。
写真の中では、彼の秘書である水原莉央が九着のドレスを着替えていた。どれも露出は多いのに、下品にならないぎりぎりを狙ったものばかりだった。
彼女は彼に、甘えるような文面を送っていた。
「悠真、明日あなたの同伴者として誕生日パーティーに行くなら、どのドレスが一番似合うと思う?」
その瞬間、私は完全に目が覚めた。
私は桐生悠真のスマホを奪い取り、そのまま一言だけ返信した。
「着ないのが一番似合うんじゃない?」
桐生悠真の顔色が変わった。
彼はスマホを奪い返すと、反射的に私の頬を平手打ちした。
「東堂美月。本当は、お前にも少しは体面を残してやるつもりだった」
「なのに、ここまで物分かりが悪いとはな」
「上流の世界に入りたい女なら、男が外に何人か遊び相手を作るくらい、黙って受け入れるものだろ」
「これ以上騒ぐなら、お前も、あの古い酒屋をやっている親父も、まとめて東京から追い出してやる」
私は熱くなった頬に触れながら、思わず笑った。六年。ずっと演じていたのは、私だけだと思っていた。けれど、彼もようやく本性を出したのだ。次の瞬間、私は手を上げ、彼の頬を打ち返した。
「桐生悠真」
「あなたが馬鹿にした、あの古い酒屋の父は――」
「東堂ホールディングスの会長よ」
「そして私は、三日以内に、あなたの会社を東堂のものにできる」