あらすじ
伯爵令嬢ミレーヌは、社交界で「泣き虫令嬢」と呼ばれていた。
少し強く言われただけで涙をこぼす彼女を、婚約者エドモンドはいつも見下していた。
「君はすぐ泣くから、公の場には向かない」
けれどミレーヌは、泣いている間もすべてを見ていた。
義妹リゼットが帳簿をすり替えた夜。
婚約者が王宮慈善基金の寄付金を横流しした日。
そして、卒業舞踏会で彼らがミレーヌに罪を着せようとした瞬間。
誰もが、泣き虫令嬢は証言台に立てないと思っていた。
けれどミレーヌは涙を拭わず、静かに告げる。
「泣いていても、見たものは忘れません」
嘘の封蝋。青いインク。差し替えられた帳簿。
彼女の証言によって、婚約者と義妹の嘘は一つずつ崩れていく。