あらすじ
数字は嘘をつかないと
あなたは笑った
涙より先に
帳簿を閉じて
愛より先に
破綻率を弾いた
きらびやかな夜会の裏で
濁った金が流れていく音を
あなただけが聞いていた
「地味な女」と蔑まれ
「可愛げがない」と捨てられても
あなたの指先は静かに
王国の運命を計算していた
誰かを刺す剣ではなく
誰かを焼く魔法でもなく
ただ、正しい数字だけで
世界を裁いた
残高はゼロ
崩れ落ちる虚栄
消えていく裏口座
泣き叫ぶ愚か者たち
そのすべてを見下ろして
あなたはただ微笑む
「――ただの暗算です」
冷たく美しいその言葉は
どんな断罪より残酷で
どんな愛の告白より甘かった
やがて国庫は満ち
夜空には祝福の光
王太子の隣で
あなたは初めて
数字ではない未来を見る
けれどきっと
その幸福さえも
あなたは静かに
黒字へ変えてしまうのだろう