あらすじ
福岡県庁20階「特別管理室」。外界から完全に隔離された黄金の鳥籠で、都市の物理法則を維持するための「演算パーツ」として軟禁される天才少女・時田渚。 週三日、時給1500円のパートタイムSPとして彼女を監視・警護する遠山えりこ(39歳・主婦)は、不遜な態度で軽口を叩く渚の背中に、誰よりも深い孤独を見つめていた。
ある夜、脊振山の上空で死闘を繰り広げる管制機「カササギ」の戦友・柳美緒が、県立生体適応研究所の鷹宮所長によって見殺しにされようとする。 友を救うため、自らの限界を超えて理不尽なシステムへ反逆のハッキングを仕掛ける渚。その血の滲むような覚悟と、今にも泣き出しそうな瞳を前に、えりこは選択を迫られる。 組織の歯車として少女の心を殺し、管理官としての規律を守る「大人の正解」か。 それとも、傷つきながらも友を想う少女の背中に寄り添う「母としての情動」か――。
「時給1500円のパートだけど、……この子の『お母さん代わり』をやるって決めたの」
えりこが選んだのは、管理官の特権IDを用いた渚への加担であり、国家権力に対する最高の「手抜き」だった。 本編『鳥籠のウィッチ』の裏側で、冷徹なシステムから一人の少女の未来を守り抜き、大人の後始末を一人で引き受けた「時給1500円の守護神」。 プロのSPとしての冷徹さと、母としての温かな情愛の間で葛藤し、決断する大人の矜持を描き切った、愛と重力のアナザーストーリー!