あらすじ
侯爵令嬢クレスタ・エルバンシュは、長年婚約していた王太子アレクシオンから突然婚約破棄を告げられる。
「僕は、本当に愛する人と結ばれたい」
王太子が選んだのは、平民の少女ミーナ。
王都では二人の恋が“身分を越えた真実の愛”としてもてはやされ、クレスタは“捨てられた令嬢”として好奇の目にさらされることになった。
そんな彼女に舞い込んだのは、冷血男爵と噂されるジークフリート・アルグレインとの縁談だった。
愛のない白い結婚。
互いに干渉しないだけの、形だけの夫婦。
そう思って嫁いだクレスタだったが、待っていたのは冷遇ではなく、不器用で静かな優しさだった。
ジークフリートは無口で表情も硬い。けれど、彼は誰よりもクレスタを気遣い、傷ついた心を少しずつ癒やしていく。
一方、王太子とミーナの“真実の愛”には、少しずつ綻びが見え始める。
美談で飾られた恋の裏で、不透明な金の流れと、クレスタを貶めようとする疑惑が動き出していた。
けれど、彼女はもう泣き寝入りしない。
過去に積み重ねた記録と帳簿が、偽りの美談を静かに暴いていく。
これは、王太子に捨てられた侯爵令嬢が、冷血と呼ばれる男爵の優しさに救われ、白い結婚を本当の愛へ変えていく物語。
そして、“真実の愛”を言い訳にした王太子が、自らの矛盾で崩れていく物語。