あらすじ
元の世界では、誰にも歌を届けることができず、孤独な日々を送っていた平凡な青年・ハル。
ある日、目が覚めると彼は、男女比率が「男性30%:女性70%」という歪なバランスになった、貞操観念の逆転した異世界に迷い込んでいた。
この世界において、数少ない男性は「存在自体が癒やし」であり、国家や女性たちから過保護なほどに守られるのが当たり前。そんな世界で、ずぶ濡れで行き倒れていたハルを救ったのは、優しくおっとりした会社員の大家・ミサキだった。
ミサキの温かい庇護のもとで暮らすうち、ハルは「この世界でもう一度、大好きな歌に挑戦したい」と願い始める。そして、一世一代の決意で地元の小さなのど自慢大会のステージに立つ。
ハル自身は、ただただ純粋に、心を込めて歌を届けようとしていた。
しかし、ステージの上の彼の姿——緊張に震えながらマイクを握る健気さ、スポットライトを浴びる無自覚な美しさ、ひたむきに声を響かせるピュアな容姿——は、日々の競争社会に疲れ果てた観客の女性たちの心を猛烈な勢いで撃ち抜いてしまう。
「歌声」の心地よさ以上に、その圧倒的にピュアな「存在(ビジュアル)」に魅了された大手芸能事務所の辣腕プロデューサー・冬馬レイカは、狂喜乱舞してハルを強引にスカウト。
「あなたのようなピュアな男の子がステージに立てば、この国のすべての女性があなたを支えるために全財産を投げ出すわ!」
オラオラした自信なんて1ミリもない、ただ純粋に歌が好きなだけのハル。
しかし、彼が一生懸命になればなるほど、周囲の女性たちはその「儚さ」と「愛らしさ」に狂わされ、彼を世界のトップスターへと押し上げていく——。
歪んだ常識の真ん中で、無自覚に世界を優しく溶かしていく、一人の少年シンガーのサクセスストーリー。