あらすじ
「俺は美少女ゲーム『白星セレナータ』の主人公アシュ・ヴァレリオに転生した!
全ヒロイン真エンド回収済みの俺は、前世の知識で全ヒロインを救ってハーレム計画と爛れた青春を実現する!」
——そう意気込むのは鳴瀬朝陽、二十五歳・過労死。
盗賊から栗色の髪のリリアを救出、学園入学、図書館での銀髪の天才セレナとの邂逅、学園祭デート、武装集団十二人を一人で制圧する完璧勝利。主人公は予習通りの展開を完璧にこなし、ヒロインたちの好感度はMAXに達するはずだった——だが、おかしい。俺の知らない要素が、次々と現れる。
リリアの戦死した兄。アスタリス内乱の生存者・孤児院出身のセレナ。一行も出てこなかった灰色の髪の青年クロウ。リーゼ伯爵が漏らす「もっと上の存在」。聖光救済院の人体実験。ヴァリス枢機卿の名前。
そして、月夜のリリアの部屋。彼女が主人公の胸元に額を当て、震える声で呟いた。
「あなたがいないと私、たぶんまた、あの戦争の夜の暗闇に戻ってしまうから」
——これは「好感度MAX」じゃない。「依存」だ。世界の根本が、前世の知識と違っている。
「同じ舞台、同じ登場人物。しかしぜんぜん違うシナリオで進む物語がこの世界に存在する」
どうやら、この世界は、同じ舞台同じ導入同じヒロインを使用した、俺の知らない傷を抱えたヒロインたちが生きる世界だった。
「それでも俺は、彼女たちを守る」
これは、前世知識が役に立たない世界。自分の頭と目で、ヒロインの本当の傷を見ていくと誓う物語。