あらすじ
応仁の乱で灰と化した京の都。室町幕府の官僚・伊勢新九郎は冷徹に呟いた。「この国は、帳簿の上ではとっくに滅んでいる」。格式ばかりの泥船を捨て、無法地帯の東国へ旅立った彼の武器は、槍ではなく「計算」だ。
姉の危機を救うため駿河へ下向した彼は、わずかな手兵でありながら、法律の知恵と地勢の危機を突きつけ、血を流さずに内乱を調停する。さらに将軍の御内書を盾に伊豆を平定すると、「四公六民」という驚天動地の減税を断行。名門・上杉や三浦一族という巨獣たちを、徹底した効率主義と外交戦で包囲していく。刀ではなく、「帳簿」で戦国最初の覇者となった男の、百年の王座を築く奇跡の物語。