あらすじ
「君のような地味な女では、公爵家の恥だ」——三年前、華やかな夜会で婚約破棄を告げられたリーゼ。社交界の笑い者となった彼女は、傷心を抱えて田舎へ逃げ、薬草園を耕しながら静かに暮らしていた。ようやく心の傷が癒え、新しい恋の予感さえ芽生えかけたその時——目覚めると、見知らぬ塔の一室に囚われていた。目の前にいたのは、かつて彼女を冷酷に切り捨てた元婚約者、アルヴィン・ローゼンクランツ。「三年も待たせてしまった。ごめんね」穏やかな微笑みの奥に、狂気じみた執着を宿す深紫の瞳。断崖絶壁に建つ塔から逃げ場はない。——なぜ今になって? あの日、あんなにも残酷に私を捨てたのに。恐怖と困惑の中、リーゼは少しずつ彼の「歪んだ愛」の真実を知っていく。そしてある決断をする。逃げるのではなく、向き合うことを。これは、壊れた王子と囚われの姫が紡ぐ、やり直しの物語。不完全で不器用な二人が、檻を「始まりの場所」に変えるまで——。