あらすじ
北境方面軍、第七ケーニッヒ師団。
泥と魔煙にまみれた最前線で、彼らは魔王軍と土色大鬼の群れを相手に、今日も死なずに戦っていた。
しかし、彼らの本当の敵は前方だけではない。
王都参謀本部は、反抗的で生き残りすぎる第七師団を疎んでいた。
上層部の机上作戦の誤りを、現場で成果を出すことで証明してしまうからだ。
そしてある日、師団の要石だった元先任曹長ライナー・ヴォルフラムは、計画的に軍籍を剥奪される。
階級章も、命令権も、補給権限も失った。
だが、彼は師団を見捨てなかった。
軍籍を失ったことで、逆に後方司令部の監視から外れたライナーは、姿なき斥候、非公式の補給線、影の狙撃手として、死地に送られ続ける第七師団を支え始める。
勝利ではない。
栄光でもない。
ただ、生き残ること。
それこそが、彼らの死を待つ王都参謀本部への最大の反逆だった。
泥をすすれ。
靴を乾かせ。
魔石を数えろ。
負傷者を担げ。
第七ケーニッヒ師団は、まだ死んでいない。