あらすじ

婚約式の鐘が鳴るはずの時刻に、アリシアの婚約者になるはずだったディオンは、病弱な幼なじみセシリアの屋敷へ向かっていた。 理由はいつも同じ。 セシリアが不安がっている。 セシリアが泣いている。 セシリアには自分が必要だ。 公爵令嬢アリシアは、これまで何度も待ってきた。 舞踏会も、観劇も、王妃殿下への挨拶も、両家の晩餐も。 そのたびにディオンは幼なじみを優先し、アリシアへこう言った。 「君なら分かってくれると思った」 そして婚約式当日。 彼はまた来なかった。 ただし、正式な婚約は今日の神殿式で成立する予定だった。 つまりディオンは、まだ法的には婚約者ではない。 神殿には両家、立会神官、公証人、王家婚姻登録院の監督官まで揃っている。 アリシアは泣かなかった。 取り乱しもしなかった。 ただ、立会神官へ告げる。 「本日の婚約式は行いません。婚約不成立の確認をお願いいたします」 遅れて戻ってきたディオンは言う。 「君なら待っていてくれると思った」 アリシアは微笑んだ。 「ええ。だから、今日まで待ちました」 婚約式をひとりで終わらせたアリシアを見ていたのは、王家婚姻登録院の監督官である大公家次男ヴィクトル。 「あなたは捨てられたのではありません。終わらせるべき時刻を、自分で選んだのです」 これは、待つ女をやめた令嬢が、自分の時間と誓いを取り戻し、王家婚姻登録院で本当の役目と恋を選び直す物語。

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小説を読もう2026/05/27
  • 現在の作品婚約者がまた病弱な幼なじみのお見舞いへ行ったので、婚約式は私ひとりで終わらせました【連載版】