あらすじ
地図には嘘がある。
著作権を守るために仕込まれた架空の地名。
海図に記されたまま百年間確認されなかった島。
行政の地図には載らず、住民だけが呼び続けた路地の名前。
古地図鑑定士・相馬潤の仕事は、その嘘と本当の境界を見極めることだ。
だが調べるほどに、境界は曖昧になる。嘘が本当になり、本当が地図から消え、消えたものがコンクリートの上に残っている。
持ち込まれるのは、地図にまつわる厄介な依頼ばかり。
相馬は足で調べ、紙で裏を取り、依頼者が本当に知りたかったことを探り当てる。
相棒の柴犬・測量は鑑定には直接役立たないが、独自の貢献を見せる。
地図好きも犬好きも楽しめる、知的で温かい連作短編。