あらすじ
クリスマスの夜。
池袋で恋人・ミサキとの待ち合わせをしていたタクは、彼女から「迷ったから迎えに来てほしい」と電話を受ける。だが、その夜、ミサキは現れなかった。
理由も告げられないまま、突然終わった関係。
残されたタクは、失った時間の中でギターを弾き続けながら、少しずつ日常を生きていく。思い出すのは、夜の街を歩いたこと、終電を逃して帰ったこと、育った街を案内してくれた日の笑顔――そして、当時は見えなかった小さな違和感だった。
年月が過ぎたある夜。
終電を逃し、駅前のベンチで缶コーヒーを飲んでいたタクの前に、突然ミサキが現れる。
「あの日のこと、ずっと謝りたかった。」
彼女はなぜ、あのクリスマスの日に来なかったのか。
何を抱えていたのか。
答えは最後まで語られない。
それでも、ふたりだけが確かに過ごした時間は、消えることなく残っていた。
失われた関係の先で、誰かを完全に理解できなくても、共に過ごした時間の灯りだけは心に残り続ける――。
喪失と再会を通して描く、静かな夜の物語。