あらすじ
「定時まであと五分。――今日こそハツが売り切れる前の串焼き屋に突撃する」
冒険者ギルドの一角にある『パーティお悩み相談窓口』、通称・もめごと係。
そこはギルドランク最低のFで、剣も魔法もまともに使えない平職員・レオンの聖域(デスク)だ。
定時退勤を人生の目標に掲げるレオンだったが、彼の前には今日も、不器用で、話し合いの苦手なワケありの荒くれ者たちが次々と押し寄せてくる。
「残業確定の緊急案件よ。さっさと片付けて」
パーテーションを勢いよく引いて現れるのは、同期の優秀なエリート受付嬢・シルフィ。
息つく暇もない窓口業務だが、レオンには誰にも負けない武器があった。
それこそが、圧倒的な観察眼と、数字(データ)を分析する能力――。
「バルトさん。あなたのその自慢の魔剣、実は『燃費』が最悪なんですが?」
「ミーナさん。その幻獣を街で飼えば、三ヶ月後にはストレスで死んでしまいますよ」
物理的な戦闘力はゼロ。だけど、レオンが導き出す確かな『数字』、そしてシルフィの完璧なアシストがあれば、どんな泥沼の喧嘩も、破産寸前の危機も、綺麗さっぱり解決していく。
目指すのは、関係者全員が納得して笑顔になれる、最高のハッピーエンド。
これは、ギルドの隅っこで迷える冒険者たちの明日をちょっと良くする、一人の青年と優秀な相棒の、知的で優しいお仕事ファンタジー。