あらすじ
ガラン・アンドレ・フォン・アサローン。彼は、すでに全てを手に入れた「勝利した神」であった。
ローマ帝国を征服し、その法を塗り替え、かつての復讐を完璧に果たした。だが、神たる王にふさわしい至高の玉座ですら、救えなかった唯一の女性――その亡霊に苛まれる彼にとって、平和とは虚無に等しかった。
玉座をもってしても鎮められぬ悲嘆から逃れるべく、ガランは神聖評議会から下されたある任務を引き受ける。
それは、日本各地で罪人たちを屠り歩く「幻影の戦士(スペクトラル・ウォリアーズ)」の正体を突き止めること。
彼は「穏川(おだがわ)」という名のしがない観光客に身をやつして、利権と虚飾が渦巻く膠着した島国、そして古の妖怪たちの秘密が眠る地へと足を踏み入れた。
この列島を救うため、彼は向き合わねばならない。かつての「暴君」としての己と、最愛の妻を失った『ただの男』としての今の己に。
もし失敗すれば、この地に保たれた脆く危うい均衡は崩壊するだろう。そして、彼が守ろうとした正義など初めから存在せず、その本性はただの「怪物」に過ぎなかったことが証明されることになる。