あらすじ
高校三年生の佐倉陽菜は、陸上部で三年間ずっと補欠だった。
誰よりも早く朝練に来て、誰よりも遅くまで走ってきた。それでも、最後の駅伝大会の正式メンバーには選ばれない。
親友でエースの橘美咲は一区を任され、チームの期待を背負っていた。陽菜は悔しさを隠して美咲を支えようとするが、練習中、美咲の左足の異変に気づいてしまう。足を痛めているのに、美咲は「大丈夫」と笑って走り続ける。
大会当日、美咲は痛みに耐えながらたすきをつなぐ。しかし、最終区間を走る予定だった選手も体調を崩し、チームは棄権寸前に追い込まれる。
そのとき、監督が陽菜に告げる。
「五区、走れるか」
それは三年間待ち続けた言葉だった。けれど、こんな形で走りたかったわけではない。迷う陽菜に、美咲は言う。
「私の代わりじゃない。陽菜が、陽菜の足で走って」
補欠として見続けた時間、悔しさ、支えてきた日々。
すべてを胸に、陽菜は最後のたすきを受け取る。
勝つためではない。
仲間の想いを、途中で終わらせないために。
走れなかった三年間が、最後の一歩になる青春駅伝ストーリー。