あらすじ
余命一年を宣告された侯爵令嬢リシェルは、婚約者である第二王子アルノルトのもとを去った。
完璧な婚約者として生きるため、好きな色も、食べたいものも、自分の心さえ押し殺してきた彼女が、最後に選んだのは「自由に生きること」。
雪深い北の街で小さなパン屋に住み込み、赤いリボンをつけ、甘い焼き菓子を食べながら、リシェルは人生で初めて自分のために笑うようになる。
一方、突然彼女を失ったアルノルトは、自分が彼女にどれほど支えられていたのか、そして一度も「彼女自身」を見ていなかったことを知る。
理解した時には、もう遅かった。
これは、人生の最後に自由を手に入れた少女と、間に合わなかった愛を一生抱えて生きる男の、静かで残酷な恋の物語。