あらすじ
高校生の大原(おおはら)と中村(なかむら)は、付き合って二年の恋人同士。
五限目のチャイムが鳴れば、当たり前のように二人で中村の部屋へ向かう。
だけどそこに、付き合いたてのような胸の高鳴りや、デート前夜のときめきはもう残っていない。
二人でベッドに並び、特に会話を交わすでもなく、別々のスマホの画面を眺める時間。
嫌いになったわけではない。大喧嘩をしたわけでもない。
ただ、離れたくないという執着だけで、だらだらと繋がっている『惰性』の毎日。
高校生という限られた時間の中で、結婚なんて未来の話はまだ現実味を帯びない。
だけど、「このままでいいのだろうか」という現状維持への焦りだけが、二人の間に漂うエアコンの冷気のようにじわじわと心を冷やしていく。
切り分けられたスイカを齧りながら、中村がぽつりと言った。
「私たちってさ、なんで付き合ってるんだっけ」
二人の二年間の思い出を「無駄」にしないために。
傷つくことを恐れて核心を避けてきた大原が、停滞期を打破するために踏み出した、小さくて不器用な一歩とは――。
恋が終わる瞬間の脆さと、そこからもう一度向き合おうとする二人の、生々しいほどにリアルで人間味溢れる等身大の恋愛ドラマ。