あらすじ
十年ぶりに故郷へ戻ってきた小島 新太(こじま あらた)。
都会での無理が祟り、療養のための帰郷だったが、
家族にも幼馴染にも弱い姿を見せたくない彼は、
複雑な思いを抱えながら島へ降り立つ。
早朝の漁港で彼を呼び止めたのは、
かつて想いを寄せていた幼馴染・花園 凛花(はなぞの りんか)。
太陽のように明るく、変わらない笑顔を向けてくる彼女に、
新太は戸惑いと懐かしさを覚える。
しかしその再会は“偶然”ではなかった。
新太の帰郷を知った凛花は、
何時間も前から漁港で彼を待っていたのだ。
上巻では、
ぎこちない再会から始まる二人の距離、
島での静かな日々、
そして新太の心が少しずつほどけていく様子が描かれる。
止まっていた時間が、ゆっくりと動き出す。
それは、やがて“花嫁”へと続く物語の始まりだった。