あらすじ
オレンジ色の夕刻、閉ざされた扉の向こう。
少女の小さな世界は、冷たい床の上で静かに終わりを迎えた。
誰も助けてくれなかった。
誰も、目を合わせてはくれなかった。
遺されたのは、消えない鉄の匂いと、
少女が最後に夢見た、優しかった兄の記憶――。
数日後。
蝉時雨のように無邪気な笑い声が響く教室に、一人の少年が揺らめき立つ。
天井に滲む、血の色をした歪な十字架「†」。
それは、あの日見捨てられた少女の墓標。
そして、終わらない夜の始まりを告げる合図。
笑っていた者、
突き落とした者、
そして、ただ黙って背を向けた者たち。
――さあ、等しく、奈落の底へ。
最愛の妹を捧げた世界へ、兄が贈る、最も美しい審判の詩。