あらすじ
「君では、王太子妃の華が務まらない」
満座の夜会で婚約を破棄された公爵令嬢エルナは、取り乱す代わりに、グラスを掲げて微笑んだ。
「では、はなむけの言葉を申し上げても?」
七年、誰にも感謝されず、たったひとり王太子の公務を裏で回してきた彼女が、その務めをひとつ残らず「祝福」として二人に手渡してゆく。叫ばない。恨まない。ただ、去る。
——「どうぞ、お幸せに」
残された二人が、今夜失ったものの大きさを知るのは、半年後のこと。
これは、誰にも見られてこなかった令嬢が、ようやく見つけられるまでの物語。