あらすじ
辺境伯領の外交補佐官サラ・カルシオスは、静かに解雇された。
「何もしない補佐官」
「いてもいなくても同じ存在」
そう言われ、誰も引き止めることはなかった。
だがその数日後、各国との通商は次々と破棄され、外交文書は止まり、領内の調整は一切進まなくなる。
気づいた時にはもう遅かった。
――この国の外交は、彼女ひとりで回っていたのだ。
一方その頃サラは、すべてを置いて温泉にいた。
「ふぅ……」
ただそれだけの言葉とともに、彼女は静かに湯に沈む。
崩れ始めた国と、何も知らない周囲。
そして誰も知らなかった“後処理”だけが、淡々と進んでいく。