あらすじ

大学の数学講師である黒崎は、数式の裏に隠された構造に美を見出す、人呼んで「数式の探求者」である。ある日の夕暮れ、ゼミ生である高坂が黒板に残したのは、絶対値記号を用いた複雑怪奇な不等式だった。その挑戦に応じるべく、黒崎は厳密な論理展開によって数式の深層を解き明かしていく。解析が進むにつれ、複雑な数式の奥から現れたのは、極限まで洗練された幾何学的な美しさだった。二人の知的な応酬は加速し、回転する双曲線、不連続なガウス記号、そしてリーマン予想の深淵へと迫っていく。極座標の世界で行き着いたカージオイドの図形に、高坂が「時間」という概念を組み込んだ連立微分方程式を突きつけたとき、二人の終わらない知の探求が幕を開ける。数学的真理の追究が至高の物語へと昇華する、理系アカデミックミステリ。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/05/26
  • 現在の作品絶対値の淑女