あらすじ
序章
日本の神代より――
老いることなく生き続ける者がいた。
伊奈久遠。
人がまだ国を持たぬ頃から、
久遠は、この国の歴史を見続けてきた。
栄える一族。
滅びる一族。
欲に溺れ、
狂い、
権力に縋った者たち。
久遠の血を濃く継いだ者ほど、
人として大切な何かを失っていった。
権力を手にした者。
富を築いた者。
時代の裏で名を残した者。
だが、その多くは――
最後には自滅へ辿り着く。
永遠は、救いではない。
愛した人は老いていく。
子は先に死に、
孫もまた土へ還る。
変わらない者だけが、
時代の中に取り残されていく。
それでも久遠は、生き続ける。
数え切れないほどの、
出会いと別れを繰り返しながら。
これは、
神代の血を受け継いだ者たちの物語。
そして――
悠久を生きる者は、
今日もまた誰かを愛してしまう。
たとえそれが、
終わることのない孤独だとしても。