あらすじ

―世界は、ときどき“ひび割れる”。 誰も気づかない。  誰も見えない。  ただ、ほんの一握りの人間だけが、その“傷口”の向こう側を覗いてしまう。 紫に濁った空。  風化したビル群。  赤黒い泥の大地。  そして、そこに巣食う、名も形も知られぬ怪物たち。 現代日本の裏側に存在する隔離領域――『境界(きょうかい)』。 行方不明者の増加も、原因不明の変死も、すべてはこの裏世界に呑まれた結果だ。  だが、一般人はその事実を知らない。  知る必要もない。  なぜなら――その“汚れ仕事”を引き受けている者たちがいるからだ。 陰陽師。 千年の歴史を受け継ぎ、現代に適応し、裏世界の怪異を祓う者たち。  彼らは今日も、誰にも知られぬまま戦い続けている。 ――だが。 その均衡は、一人の少年によって大きく揺らぐことになる。 神崎伊織。  京都の居酒屋でバイトをしながら、肉と自由を愛する、ごく普通の高校生。  優しいが、頭のネジが数本飛んでいる。  だが、その“飛んだネジ”こそが、彼を裏世界へと導いた。 大江山の祠。  割れた一升瓶から流れ込んだ最高級の大吟醸。  そして――千年封印されていた最強の鬼の王が目覚める。 酒呑童子。 美しく、傲慢で、酒を愛し、死を纏う絶対的な怪異。  その魂は、瀕死の伊織の身体に宿り、二人は奇妙な同居生活を始める。 この出会いが、  陰陽師たちの秩序を揺るがし、  裏世界の均衡を破壊し、  やがて日本全土を巻き込む大災厄へと繋がることを――  この時、誰も知らなかった。

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カクヨム
カクヨム2026/05/26
  • 現在の作品鬼姫宿りの現代陰陽師《エクソシスト》