あらすじ
休日の午後。俺は古くからの友人・野々村と、行きつけの静かな喫茶店で珈琲を飲んでいた。
こだわりの豆、静かに流れるBGM、いつもの心地よい時間。
しかし、野々村が突然スマホを取り出し、信じられない相手に電話を掛け始めたことで状況は一変する。
「こっちは2026年だ! そっちは2012年だな!? 今すぐメモれ!」
繋がった先は、14年前の『過去の野々村自身』だった。
浮気している恋人との即刻の別れ、命に関わる地雷の回避、そして「NVIDIAの株を買え」という必死の警告。
目の前で繰り広げられる唐突なSF展開に、俺はただ固唾を飲んで見守ることしかできない。
焦燥に駆られながら過去の自分へ言葉を叩きつける野々村。果たしてその思いは届くのか。そして、通話の果てに二人が迎える結末とは――。
ワンシチュエーションで描かれる、一杯の珈琲の香りと共に味わう少し不思議な会話劇。