あらすじ
中学一年の五月。深夜零時の好奇心から家を抜け出した廣岡(ひろおか)は、暗闇の中にぽつんと浮かび上がるコンビニの光の中で、一人の女の子に出会う。
それから、毎日零時から一時までのわずか一時間。
誰もいない歩道橋、深夜の自販機の灯りの下、二人は毎晩のように言葉を交わした。
「授業中の居眠り」や「犬派猫派の議論」、「担任のハゲ頭」について。そんな他愛のない、だけど二人にとっては世界の全てだった、静かな夜の逢瀬。
「なんか私、この世界に馴染めないんだよね。……でも、君といると、少しだけ朝が怖くない」
決して名前を明かさず、どこか儚げに笑う彼女に恋をして、気づけば六年。高校三年生になった廣岡は、大学合格を機に、この街を出て一人暮らしをすることを決める。
2人が最後に会話を交わしたのは、引っ越しを翌日に控えた、やっぱり深夜零時のことだった。
ついに明かされる、彼女が夜にしか現れなかった「切なすぎる正体」と、秘められた過去。
朝を恐れていた二人が、それぞれの未来へ歩き出すための、美しくも涙が溢れる青春ダークロマンス。