あらすじ
鹿を避けて川に落ちた現代農家・春原直人が目を覚ますと、そこは十六世紀半ばの信濃佐久だった。
軽トラもスマホもない。
持っていたのは、川に散らばったじゃが芋だけ。
飢えた村人たちは、その奇妙な芋を疑い、恐れ、やがて口にする。
食べれば今日を生きられる。
だが植えれば、来年の命が残る。
ただの作物だった芋は、村の冬を支え、真田の山へ渡り、やがて兵糧となり、伝承となっていく。
これは、銃も火薬も持たない男が、戦国の片隅で芋を植え続ける物語。
歴史を大きく変える話ではない。
けれど、誰かが帰る道の石を一つどける話である。
戦国×農業×真田×兵站×救荒作物。
地味な芋が、腹と歴史を少しだけ支える。