あらすじ
「今日も魔王城(ここ)は、吐き気がするほど聳え立っている――」
かつて人間とモンスターが共存した経済は崩壊し、老害魔王が支配する『ビター・バレー(大迷宮要塞)』。そこは下位モンスターたちが「無限リスポーン」の呪縛のもと、上位陣の経験値タンクや理不尽な労働力として永遠に使い潰される、超絶ブラック職場だった。
通算死亡回数、三万回超え。
最下層の清掃員であるコボルトのミドは、毎日のように理不尽なトラップや上位モンスターの気まぐれで「死に戻り」を繰り返していた。事勿れ主義の同僚に呆れられながらも、ミドはただ一人、反逆の準備を進めていく。
武器は「ほうき」一本と、セーブポイント半径二メートル以内のアイテムを私物化できる『所有権確定バグ』。
ミドは毎日の死に戻りを利用し、廃棄された人食い箱(ミミック)や上位陣の機密データを着々と自らの所有物として確定させていく。
空から毒舌で論破してくる窓拭きのハーピー、そして強欲を隠し持つ不気味な荷物番のロックエイプ。異端の社畜たちと【業務提携】を結んだミドは、理不尽なシステムをハックし、上級国民に売り飛ばされた妹分を救い出すための「大掃除(ストライキ)」を決行する!
だが、彼らはまだ知らない。
魔王城のシステムを壊し「自由」を手に入れるということは、唯一の安全網であるリスポーンを失い、確かな『死』を手に入れることだという残酷な代償を――。
これは、命を前借りして戦う底辺モンスターたちの、血と泥とブラックジョークにまみれた下剋上ダークファンタジー。