あらすじ
高校二年生の千鳥小夜には、ずっと隠しつづけている秘密がある。
人と人の間に伸びる「縁の糸」が、生まれつき見えるのだ。
家族の間には金色。友達同士には青。恋人同士には赤。——そして、腐った縁はどす黒い紫色をしている。
縁の糸は、切ることもできる。
だからこそ小夜は、人と深く関わらないようにしてきた。誰かの縁を勝手に見て、触れて、断ち切ってしまうかもしれない。そんな自分が怖かった。自分が孤独でいれば、誰も傷つけずに済む。
静かに、穏やかに、誰にも気づかれずに卒業する。それが目標だった。
——なのに、なぜかクラスで一番目立つ男子・稲葉春陽が、私の秘密を知っている。
「千鳥さんって、縁切り師だよね?」
笑顔で言うな。怖いから。
彼は「縁結び師」の家系の跡取りだった。そして、小夜のクラスメイトに、このままでは魂を蝕まれる「腐った縁」が絡みついているのを発見してしまった小夜は——。
関わりたくない。でも、見捨てられない。
縁切り師と縁結び師、真逆の力を持つ二人の、ちょっと不思議で、ちょっと距離が縮まりすぎる日常が始まる。