あらすじ
18歳の美咲は、人が多い場所や長時間の外出になると、トイレの不安を感じやすかった。
夏休みの日、友達の奈々に誘われて市民プールへ行くことになった美咲は、不安を隠しながらも“念のため”の準備をして家を出る。
流れるプール、アイス、夕方まで続くおしゃべり。
最初は緊張していた美咲も、奈々と過ごすうちに少しずつ心をほどいていく。
しかし午後、人混みと長いトイレ待ちの中で、美咲は限界を迎えてしまう。
恥ずかしさで消えたくなる美咲だったが、奈々は責めることなく「大丈夫」と笑ってくれた。
ところが今度は、その奈々まで同じ失敗をしてしまう。
“自分だけじゃなかった”――。
恥ずかしい出来事をきっかけに、ふたりの距離は少しだけ変わっていく。
帰り道、夕焼けの駅へ向かいながら、美咲は気づく。
不安を隠し続けるより、「安心できる方法」を持つことも悪くないのかもしれない、と。
これは、ちょっと情けなくて、でもどこか優しい、ふたりの夏の失敗談。