あらすじ

「明日の夜明けの鐘を、一刻早めてほしい」 婚約者のギルベルトは、まるで花瓶の位置を変えるような気軽さでそう言った。 理由は、妹ミリアの叙爵披露。朝日が差し込む演出に合わせるため、王都中央塔の大時計を動かせという。 けれど王都の時計は、ただ時を告げる飾りではない。 東門の開門、港の水門、市場の競り、薬師院の火入れ、王宮結界の循環。 そのすべてが、時計守エルナの針に支えられていた。 「針を少し進めるだけだろう」 そう笑った婚約者に、エルナは静かに告げる。 「承知いたしました。では、私の針を外してまいります」

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/05/26
  • 現在の作品「針を少し進めるだけだろう」と婚約者に言われたので、王都を支えていた私の針を外しました