あらすじ

「――今隣で笑う彼女が遠い人なのだと初めて感じてしまった日から、僕は景色を描く彼女の横顔ばかりを描くようになった――」 大正時代。それはまだ身分制度が色濃く残っていた時代。 病院や孤児院を代々経営する、巨大な名家の跡取り息子・稔(みのる)。 敷かれたレールの上で息を潜める彼は、丘の上の東屋で絵を描くことだけが唯一の救いだった。 ――ある日、稔はそこで一人の少女と出会う。 少女の名は、つむぎ。 身寄りがなく、孤独を抱えて生きる彼女もまた、その東屋で静かに絵を描いていた。 「身分に関係なく人は孤独を抱えている……」 お互いの正体を知らないまま、東屋から見える街の景色を描きながら、不器用に心の傷を癒やし合っていく二人。身分も境遇も超えて、確かに二人の魂は結ばれていった。 しかし、運命は残酷だった。 暴かれた「正体」――それは、経営者の一族と、その孤児院の子どもという、決して交わってはいけない圧倒的な格差。 残酷な身分の壁が二人を容赦なく引き裂いていく中、二人がキャンバスに描く愛の結末とは。 大正の激動の中で描かれる、切なくも美しい身分差ロマンス。

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エブリスタ
エブリスタ2026/05/25
  • 現在の作品青い絵の具と、セピアの横顔