あらすじ
港町で暮らしていた景司は、ある夜、「またいつか。」という言葉だけを残して突然姿を消した。原因は、偶然目撃してしまった裏金融会社の殺人事件だった。命を狙われる恐怖の中、景司は各地を転々とし、山村へ逃げ込む。そこで出会ったのは、人生に疲れながらも人情を失わない老人・源蔵と、孤独を抱えた薬草農家の女性・真琴だった。
しかし景司を追う藤崎たちは執拗だった。逃げ続けるうち、景司は自分が周囲を傷つけていることに気づく。かつての景司は、苦しみから逃げることでしか生きられなかった。だが、源蔵や道子、真琴との出会いの中で、「誰かを守るために逃げない」という覚悟が芽生えていく。
追跡、暴力、裏切り、そして再会。
人生に敗れ続けた中年男が、逃亡の果てにようやく見つけた“帰る場所”を描く、人情と再生の物語。