あらすじ
仕事帰りに立ち寄る公園で、私はいつも一人の女性を見かけていた。
ベンチに座る彼女のもとへ、嬉しそうに駆け寄ってくる一匹の猫。
その光景は、疲れた毎日の中で少しだけ心を温かくしてくれる“いつもの風景”だった。
けれど、ある日を境に猫は姿を見せなくなる。
それでも女性は毎日同じ時間に公園へ来て、隣を空けたまま静かに笑っていた。
名前も知らない他人同士。
それでも私は、どうしても伝えたくなった。
「きっと、あの子も感謝しているはずです」
これは、大切な存在を失ったあとも、優しさだけはちゃんと残り続けるという、小さな春の物語。