あらすじ
東京都内で刑事として働く龍崎乙葉は、犯人逮捕のためなら危険も厭わない、型破りで破天荒な女だった。
周囲を振り回し、上司に怒鳴られ、始末書を積み上げながらも、その勘の鋭さと行動力で数々の事件を解決してきた乙葉。だが、都内で起きた連続爆破事件の最終局面で、彼女は相棒を失うという、取り返しのつかない喪失を抱えることになる。
そんな乙葉は、以前からひとりの男の夢を見続けていた。
愁生(しゅうせい)――幕末を生き、新選組と共に京を駆けた青年。
夢の断片は、まるでその男の生涯を少しずつ見せられているかのように続いていく。
最愛の祖母の死をきっかけに、乙葉は龍崎家に隠されていた秘密へと辿り着く。
やがて乙葉は、自分が見続けていた夢の意味を知り、時を越えて幕末へと導かれていく。
そこで出会うのは、新選組副長・土方歳三。
厳しく、冷たく、口も悪い。だが、誰より仲間思いで、不器用なくせに妙に放っておけない男だった。
しかも乙葉は幕末へ来ても相変わらずの破天荒ぶりで、事件に首を突っ込んでは土方を怒らせ、新選組の面々を振り回していく。
怒鳴られても「事件解決したんだからいいじゃない」と涼しい顔。
土方は額に青筋を立て、沖田は面白がり、屯所は毎度大騒ぎ。
最悪の出会いから始まったはずなのに、気づけば口喧嘩の数だけ距離は縮まり、ぶつかり合う日々はいつしか、笑いとときめきに変わっていく。
なぜ自分はこの時代へ来たのか。
愁生が果たせなかった願いとは何だったのか。
そして土方歳三という男に、どうしてこれほど心を乱されるのか。
騒がしくて、甘くて、ときどきどうしようもなく切ない。
笑って、怒って、ぶつかって、それでも惹かれ合い、やがて深く愛し合っていく。
けれど幕末という時代はあまりにも苛烈で、ふたりの恋に静かに影を落としていく。
これは、時を越えて巡り合う、甘くも切ない恋の物語。