あらすじ

https://estar.jp/pictures/26567574 表紙絵 「あ”?」 ……しまった。 やり過ぎた。 引いたネクタイの先で、 新社長が完全に固まっている。 その顔。 ……退職祝いに、 もらっておこうかな。 会社のお荷物なら。 「仕方ない。」 言いたい事なんて、 本当は山ほどある。 悔しいとか。 寂しいとか。 何で私なんだ、とか。 全部。 全部、飲み込んだ。 本当は少し、 泣きそうだった。 でも、泣かないくらいは もう大人だから。 「き、君は……勘違いしている」 焦ったように、 いつもより少しだけ早い口調。 ……え? 「私を、 ……助けてはくれないか」 真っ直ぐだった。 逃げ場がないくらい、 真剣な目。 えっ? 心臓が、 変な音を立てた。 「君しか、居ない」 低く落ちた声が、 そのまま胸へ落ちてくる。 誰かに必要だと言われるだけで、 こんなに嬉しいなんて。 ……知らなかった。 「……はい」 気づいた時には、 頷いていた。 新社長は、 私を必要としている。 「君の条件も……喜んで呑む」 耳まで赤いまま、 彼はシャツのボタンへ手をかけた。 一つ。 また、一つ。 私は何も言えなかった。 ただ、見ていた。 完璧だった人の、 少し崩れた顔を。 その先を。 その先だけを。 社長室の空気が、 静かに張り詰めていく。 ……そこまで追い詰められてるの? それとも。 少しだけ、私に興味がある? そんな訳ない。 この時の私はまだ、 熱くなった頭で、 そんな事を考えていた。

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エブリスタ
エブリスタ2026/05/25
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