あらすじ

上海の雨の下で育った少年は、まだ存在しない赤道宇宙港を夢見た。 大日本帝国が敗戦を経験せず、大東亜共栄圏が戦後世界の第三極として残った二十世紀。米ソが宇宙を競う時代に、帝国もまた赤道から星を目指していた。 陳星舟。上海生まれ、台湾育ち。 根を持たない少年だった彼は、やがて帝国初の有人軌道船《瑞鳥一号》に関わり、宇宙から地球へ帰還する。 けれど、帰還は終わりではなかった。 帝都は彼を英雄にしようとする。新聞は彼の言葉を見出しに変える。国家は彼の経歴を物語として使おうとする。 飛ぶことは夢だった。 帰ることは使命になった。 上海、台湾、赤道、帝都。 これは、時代に翻訳されていく一人の技術者が、それでも自分の言葉と帰る場所を失わないための物語。

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カクヨム
カクヨム2026/05/25
  • 現在の作品赤道の星、上海の雨