あらすじ
夫は妹とアメリカへ行った。
「人生を変えたい」
そう言って。
オムツも、
保育園の書類も、
夜泣きも、
全部、日本に置いたまま。
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「お兄ちゃんは海外向きだよ」
妹は笑う。
「日本が合わないだけ」
その言葉を信じて、
夫は“未来”へ旅立った。
私と子どもを残して。
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実家の狭い部屋。
母が子どもを寝かしつける声を聞きながら、
私は単語帳を開く。
眠い。
しんどい。
泣きたい。
でも、
明日のミルク代みたいに、
現実は待ってくれない。
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海の向こうでは、
兄妹が夢を語る。
自由な人生。
海外で成功する自分。
“本当の才能”。
でもその頃、
私は日本で、
黙ってリスニングを聞いていた。
洗濯物を畳みながら。
子どもを抱きながら。
現実を生きながら。
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やがて夫は帰ってきた。
夢に敗れて。
英語にも、
人生にも、
自分自身にも向き合えないまま。
そんな彼に、
私は静かに言う。
> 「TOEIC900点って、
> 日本でも取れるんだね」
責めるためじゃない。
ただ、
それが現実だった。
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遠くへ行った人より、
逃げなかった人の方が、
前へ進めることもある。
人生は、
国じゃ変わらない。
毎日をどう生きたかで、
少しずつ変わっていく。